話しの種のテーブル  

No.130

地震(東北関東大震災)とキジ
村田威夫
 大地震が起きた日(2011.3.11)の午後2時半過ぎに、私は千葉県市原市の牛久の南に南北に開けた谷津にいた。地震が起こる前に谷津に出る農家の家並みを歩いていると、近くからキジの「ケーン ケーン」と鳴き声がけたたましく聞こえた。こんな所にもキジがいるのかと思いながら谷津に出た。そのときに揺れを感じた。それからは揺れが大きくなり、キジの鳴いた方向を記録として写真を撮ったが、後で見ると写真は大きくぶれていた。揺れがおさまり、谷津を歩き出し、アカガエルの卵塊が田んぼの水たまりにあるのを見つけて、写真を撮るため3m下の田んぼに降りようとしたとき、またキジが鳴いた。その後すぐに大きな揺れにおそわれた。揺れがおさまるまで動けずじっとしていた。
 どこかで大きな地震が起こったのかな? 何が起こったのか情報を得られず、不安を感じながら谷津を歩いていた。防災放送は、風向きの関係で、「海岸付近に人は近づかないように」とのことだけが聞こえただけだった。千葉県あるいは千葉県の近くで大きな地震が起きたのかな? 谷津には人はいないし、家から人も出て来ないので、そのまま谷津を南下し車の迎えが来る神社へ向かった。その間何度かキジが鳴き、その都度揺れを感じた。田んぼの水の溜まっている所や水路にはアカガエルとトウキョウサンショウウオの卵塊が所々で見られた。これらの地では地震で水がかなり大きく揺れて、溢れたりした所もあったが、卵塊が水の外に出てしまったものは1つも見かけなかった。生き物のすごさを感じた。神社に着き、記録を整理している時にもキジが鳴き、すぐにやや強い揺れを感じた。
 迎えの車のラジオで大地震の情報を耳にした。
 キジが鳴いたのは地震によるものではないかと思った。キジの鳴き声の後に必ず揺れが起こった。最初の本震の時は鳴き声を聞いてから、揺れを感じるまで、30〜40秒ぐらいあった。その後は鳴き声と揺れの間隔は短くなり、神社で最後に耳にしたときは、キジが鳴いた直後に揺れを感じた。車で戻りながら、農家の家並みの間に畑と草地が見られたので、キジはこのあたりに居たのだと思われる。また、鳴き声は同時に2羽以上の声を聞かなかったので、1羽の雄の鳴き声と考えられる。
キジ。雄(上)と雌(下)
2009年5月、自然観察大学 我孫子市岡発戸の観察会で(唐沢孝一撮影)
 地震の前に、動物が反応するということが言われているが、まさにその反応の一つと思える体験を野外でしたので報告させていただく。
 帰路途中で、5時頃、市原市五井の石油精製所の火災・爆発を車から見た。ちょうどにわか雨であたりは暗く強い雨の中、爆発のたびに辺り一面が明るくなり、炎と黒煙が立ち上り恐ろしい情景だった。海岸沿いの道路を避けて、内陸の道を抜けて、なんとか夜遅く帰宅することができた。

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