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フザリウム
−分類と生態・防除−

駒田旦・小川奎・青木孝之/編集

定価30,000円+税
ISBN978-4-88137-156-5

「フザリウム病」といえば、土壌病害の典型としてつとに有名です。またこのフザリウム病を引き起こすFusarium菌は、1940年から1945年にかけてアメリカのSnyder & Hansenが種の概念を広く捉える9種システムを提唱したことで、生態研究を大きく進歩させたこともよく知られています。全農教から1980年に発行された「作物のフザリウム病」は、このような事情を反映し、広く植物病理学研究者から農業研究者まで、教科書的な基本図書として利用されてきました。それから30年後、フザリウムを取り巻く現状は、分類体系の大変革、人体に対する影響、微生物防除、分子生物学的手法などきわめて大きな変化にさらされています。本書「フザリウム−分類と生態・防除−」は、このような現状に的確に対応すべく、十数年を費やして新たに編集・制作されました。

特 色

1.

分類、生態から病害、防除、実験法までFusarium菌とフザリウム病の全体像をあますところなく網羅。
目次→

2.

新たな分類体系の構築に向け個々の菌種の細かい分類学的見直しが続けられている現状の中、Wollenweber & Reinking、Snyder & Hansen、Nelson-Toussoun-Marasas等の比較形態学的分類体系、さらには、O'Donnell等の分子系統学的種概念との関係を視野に入れつつ、本書の分類学的立場を明確にした。
内容見本(第1章)→

3.

上記2.に関連し、「主要分類体系間におけるFusarium属の種の対応関係」をA全判(60cm×90cm)のポスターにまとめ、別添付録とした。

4.

近年、国際間の植物の移動による病害虫リスクが増大する中、Fusarium菌を対象とした植物検疫の現状について解説。
内容見本(第2章)→

5.

新しい手法VCG(栄養体親和性グループ)のFusarium菌への導入について解説。
内容見本(第3章)→
6.
ムギ類赤かび病菌が産生するデオキシニバレノール(DON)等のかび毒が大きな社会問題となっているが、Fusarium菌の産生する毒性物質について、全般的に解説。
内容見本(第5章)→
7.
ヒトのフザリウム真菌症が問題化している。原因菌種・同定・治療について解説。眼の角膜真菌症についても、別項で解説。
口絵1(第6章)→
口絵2(第6章)→
8.
昆虫に感染するFusarium菌について解説。
内容見本(第6章)→
9.
微生物を利用したフザリウム病の防除について解説。
内容見本(第7章)→
10.
今なお重要性が高く、より進歩した「選択培地」について、新知見を交えて解説。
口絵5(第8章)→
11.
フザリウム病の実験法について、分子遺伝学的な新しい手法を交えて解説。
口絵3(第8章)→
12.
各論では前書発行後、報告された新病害30種を新登載。
図版20→
内容見本(各論)→
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目  次
第1部 総論
第1章 Fusarium菌の分類と同定
  第1節 Fusarium菌の分類体系
  1. Fusarium属菌の分類研究
  2. Wollenweber・Reinkingの分類体系
  3. Snyder・Hansenの体系とNelson-Toussoun-Marasasのモノグラフ
  4. 中間的な種概念の分類体系
  5. 分子系統時代におけるFusarium属菌の分類法
  6. Fusarium属菌の形態的特徴
  7. Fusarium属菌の主要な群
  第2節 Fusarium菌に関連した子のう菌類の分類
  1. 高次分類群の分類法の概略
  2. ネクトリア科菌類およびFusarium属菌を無性時代に持つ科内の属の形態的特徴
  3. Fusarium菌の交配様式
  第3節 Fusarium菌の分化型・レースによる分類
  1. Fusarium属菌の分化型・レースとは
  2. 接種試験法
  3. Fusarium属菌の既知の分化型とレース
  第4節 Fusarium菌の微細構造
  1. 内部構造
  2. 表面構造
第2章 作物のフザリウム病
  第1節 作物のフザリウム病の種類と特徴
  1. 土壌伝染性Fusarium菌に起因する萎凋性病害
  2. 土壌伝染性Fusarium菌に起因する根腐れ性病害
  3. 空気伝染性Fusarium菌に起因する病害
  第2節 フザリウム病の発生と被害
  1. 世界的なフザリウム病の発生
  2. 大正から昭和初期にかけての記録
  3. 旧農業基本法から昭和50年代にかけての大規模野菜産地での発生
  4. 種子、種苗伝染による被害の拡大
  5. トマト萎凋病における抵抗性品種育成と新レースの出現
  6. 1960〜70年代にかけてアメリカと日本で同時に多発したトマト根腐萎凋病
  7. 緊急防除事業がとられたフザリウム病
  8. 近年、顕在化した夏秋レタスのフザリウム病
  9. 世界的に問題のムギ類赤かび病の発生と被害
  第3節 フザリウム病と植物検疫
  1. 輸入検疫で発見されたフザリウム病
  2. わが国への侵入を警戒するフザリウム病
第3章 Fusarium菌の生態と作物のフザリウム病
  第1節 土壌および植物体上のFusarium
  1. 構成種と量(頻度)
  2. 分布を決定する要因
  3. 基物の差とその新旧(加齢段階)
  4. 地理的分布(気候区分と地理的隔離)
  5. 季節変動と活性時期(休眠)
  6. 既存の諸研究
  7. 栄養体親和性グループ(VCG)
  第2節 腐生
  1. Fusarium菌の一般的な生理的性質
  2. 環境要因としての微生物相
  3. 微生物相の中でのFusarium菌の腐生生存
  4. 圃場でのFusarium菌の動向
  第3節 伝染経路
  1. 土壌伝染
  2. 空気伝染
  3. 種子伝染
  4. 球根・種苗伝染
  第4節 発生環境
  1. 発病抑止土壌
  2. フザリウム病衰退土壌
  3. 物理的環境要因
  4. 化学的環境要因
  5. 生物的環境要因
  第5節 線虫との複合病
  1. 線虫と菌類との相互関係
  2. 線虫の役割と複合病
  3. 線虫とフザリウム病との関係
  4. 複合病の実態
  5. 複合病の成立要因
  6. 線虫との複合病の回避
第4章 作物のフザリウム病の病態生理
  第1節 感染機構
  1. 根圏効果
  2. 根部感染におけるフザリウム病菌の初期行動と病原性遺伝子
  第2節 発病・萎凋機構
  1. 健全植物における水分移動の概観
  2. 罹病植物における水分経済の乱れ
  3. 罹病植物体の内部変調
  4. 萎凋毒素(wilting toxin)
  5. 病理萎凋の特徴
  第3節 抵抗性の機作
  1. 抵抗性の種類
  2. 抵抗反応の発現現場
  3. 先住性の静的抵抗因子(抗菌物質)
  4. 誘導性の動的抵抗性因子
  第4節 寄生範囲を決定する要因
  1. 分化型特異性
  2. 品種−レース特異性(品種−レース特異的相互作用)
  3. レース特異的非病原力遺伝子とその翻訳タンパク質因子
第5章 Fusarium菌の産生する毒性物質
  第1節 ファイトアレキシンとファイトトキシン
  1. ファイトアレキシン
  2. ファイトトキシン
  3. Fusarium菌の色素
  第2節 マイコトキシン
  1. マイコトキシン(かび毒)
  2. トリコテセン系マイコトキシン
  3. ゼアラレノン(zearalenone、F-2 toxin)
  4. フモニシン(fumonisin)
  5. その他のフザリウムマイコトキシン
第6章 ヒト・昆虫のフザリウム病
  第1節 ヒトに感染するFusarium
  1. ヒト臨床材料由来Fusarium
     a フザリウム真菌症の背景
     b フザリウム真菌症の原因菌種
     c 病原因子としての毒性代謝産物(マイコトキシンなど)
     d フザリウム真菌症の同定
     e フザリウム真菌症の治療
     f 動物実験から見たFusarium菌の感染性
     g 今後の展望
  2. 眼
     a わが国における角膜真菌症の現況
     b 角膜真菌症の診断
     c 角膜真菌症の治療
     d 角膜真菌症の今後
  第2節 昆虫に感染するFusarium
第7章 作物のフザリウム病の防除
  第1節 健全種苗の生産
  1. 種子伝染病問題の背景
  2. 種子伝染性フザリウム病発生と被害の実態
  3. 健全種子生産をめぐる国際的な動き
  4. わが国における公的健全種子検査の実態
  5. 健全種子・種苗の生産
  第2節 種苗消毒
  1. 物理的方法(熱利用による種苗消毒)
  2. 化学的種子消毒法
  3. 機械的種苗処理
  第3節 抵抗性品種
  1. 病害抵抗性
  2. 抵抗性品種利用上の課題
  3. Fusarium菌による各種病害の抵抗性品種
  第4節 抵抗性台木
  1. 接ぎ木栽培の変遷
  2. 接ぎ木栽培の現状
  3. 抵抗性台木利用の問題点
  4. 接ぎ木栽培と種子伝染性病害
  5. 抵抗性台木とその利用
  第5節 耕種的防除
  1. 輪作
  2. 有機物施用
  3. 施肥の効果
  4. 石灰施用の効果
  5. 湛水の効果
  6. 深耕の効果
  7. 罹病残渣の処理
  第6節 微生物防除
  1. フザリウム病防除における微生物の利用
  2. 拮抗微生物によるフザリウム病の防除
  3. PGPRによるフザリウム病の防除
  4. 非病原性F. oxysporumによるフザリウム病の防除
  5. 非病原性F. oxysporumと蛍光性Pseudomonasの組合せによる微生物防除
  第7節 物理的防除
  1. 熱利用による病害防除
  2. 還元土壌消毒による病害防除
  3. 光線利用による病害防除
  4. 遮根シート利用の物理的遮断による病害防除
  第8節 薬剤防除
  1. 定植前の土壌消毒
  2. 植付け後の薬剤防除
  第9節 総合防除
  1. 病気の起きるしくみ
  2. フザリウム病の発生の原因
  3. 病気の防ぎ方
  4. 総合防除の概念とそのシステム化
第8章 作物のフザリウム病の実験法
  第1節 Fusarium菌の同定と識別手法
  1. Fusarium菌の同定手順
  2. DNA解析による同定手順
  3. モノクローナル抗体
  第2節 菌の保存・培養・製剤化
  1. 菌の生存と質
  2. 各種保存法
  3. 培養基・培養条件
  第3節 選択培地による菌の検出
  1. 選択培地の具備すべき機能
  2. 駒田培地および駒田培地の改変培地
  3. その他の培地
  4. 選択培地の能力
  第4節 圃場試験法
  1. 大量培養、接種法
  2. 圃場条件
  3. 苗令と品種
  4. 環境条件
  5. 処理法
  6. 調査法
  第5節 種子伝染試験法
  1. 保菌種子調製法
  2. 各種保菌種子の特徴
  3. 種子伝染試験
  第6節 品種抵抗性試験法
  1. 圃場検定と施設内検定
  2. 品種間の抵抗性比較と抵抗性個体選抜の相違
  3. 接種方法の類別
  4. 各種フザリウム病害に対する抵抗性検定法
  第7節 生態観察実験法
  1. 原則と実際
  2. 試料採取
  3. 試料の最小単位と菌量の計数・比較法
  4. 例外の存在
  5. 生息条件のin vitroでの再現と胞子形成の誘導
  第8節 菌のモニタリング手法
  1. 遺伝的標識法
  2. nit変異株
  3. 耐性菌
  4. ニュークリポアフィルター法
  付 録 Fusarium菌株の提供機関と入手方法
第2部 各論(カラー図版と解説)
サツマイモつる割病
ムギ類紅色雪腐病
ムギ類赤かび病
イネばか苗病
トウモロコシ赤かび病
インゲンマメ根腐病
エンドウ根腐病
エンドウ萎凋病
アズキ萎凋病
ジャガイモ乾腐病
コンニャク乾腐病
クワ芽枯病
アルファルファ・アカクローバ萎凋病
イネ科牧草・西洋シバ紅色雪腐病
サトイモ萎凋病
ホウレンソウ萎凋病
ゴボウ萎凋病
レタス根腐病
コマツナ萎黄病
カブ萎黄病
キャベツ萎黄病
ダイコン萎黄病
ウリ類つる割病
ニガウリつる割病
カボチャ立枯病
タマネギ乾腐病
ラッキョウ赤枯病
ラッキョウ・ニラ・ニンニク乾腐病
ネギ萎凋病
ネギ根腐萎凋病
アスパラガス立枯病および株腐病
ハス腐敗病
イチゴ萎黄病
トマト萎凋病
トマト根腐萎凋病
セルリー萎黄病
コリアンダー株枯病
パセリ萎凋病
メボウキ(スイートバジル)萎凋病
ケイトウ立枯病
スイセン乾腐病
カーネーション萎凋病および立枯病
アスター萎凋病
トルコギキョウ茎腐病および立枯病
グラジオラス乾腐病
アロエ株腐病
チューリップ球根腐敗病
シンビジウム黄斑病
シンビジウム腐敗病
ファレノプシス株枯病
シクラメン萎凋病
オドントグロッサム・オドンティオダ黒点病
ストック萎凋病
パッションフルーツ萎凋病
樹木類苗立枯病
マツ類漏脂胴枯病
ニセアカシア・ネム苗萎凋病および枝枯病
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